おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)とは?
おたふくかぜは、正式名称は <流行性耳下腺炎> です。ムンプスウイルスに感染することによって発症する病気です。片側あるいは両側の耳下腺の腫脹を特徴とする急性ウイルス感染症で、通称 <おたふくかぜ> と呼ばれています。おたふくかぜの特徴は、その名前のとおり耳下腺(耳の下部で唾液を産生)が腫れて、外観が <おたふく> の様になることです。また感染により合併症を起こす可能性があります。小児の疾患としては世界で一般的に知られていて、日本でも流行が確認されています。
1967年にワクチンが開発される以前は、小児の疾患として全世界で一般的であり、今日でも発展途上国では脅威となっています。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の原因
おたふく風邪は、麻疹ウイルスの仲間である <ムンプスウイルス> が原因で起こります。
|おたふくかぜ(ムンプスウイルス)の感染経路
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、飛沫感染や接触感染により感染します。感染力が強く、家族や保育所、幼稚園、小学校など子供同士が密接に接触するところで流行します。
おたふくかぜの感染経路
- 飛沫感染 感染者からの咳・唾液など
- 接触感染 感染者との直接の接触
おたふくかぜの感染率
- 同居家族 約97.5%
- 学校・幼稚園など 約90%
- 不顕性感染(感染しても症状なし) 約30%
不顕性感染では無症状なので感染しているかどうか診察ではわかりません。血液中のムンプスウイルス抗体価を測定するとおたふくかぜに感染しているかどうかが判ります。
豆ちしき
ムンプスの感染力は、はしかや水ぼうそうほど強くありません。
|ムンプスウイルスの詳細
ムンプスウイルスは次のような特徴を持ったウイルスです。
- パラミクソウイルス科(麻疹ウイルスと同じ)
- 表面にエンベロープをかぶった
- マイナスセンスの1本鎖RNA ウイルス
- 大きさは100 〜600nm
- 主に6つの構造タンパクを有している。
ウイルス表面のエンベロープには2つの糖タンパクが存在します。H(hemagglutinin‐neuraminidase glycoprotein) と F(fusion glycoprotein ) です。この2 つのタンパクに対する抗体が感染から宿主を防御すると言われています。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の症状
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の症状は、潜伏期を経て片側あるいは両側の唾液腺の腫脹を特徴とするウイルス感染症です。通常1〜2 週間で軽快します。おたふくかぜに伴う多彩な症状と合併症があります。成人のおたふく風邪は小児より重症化しやすいのが特徴。予防接種などで対策することをお薦めします。
|おたふくかぜ(ムンプスウイルス)の潜伏期
ムンプスウイルスに感染してからおたふくかぜを発症するまでの期間を潜伏期と呼びます。一般的にはおたふくかぜの潜伏期は2〜3週間(通常12〜21日・平均18日前後)です。その後発症して症状がでますが、通常は1週間程度で回復します。
潜伏期間も、回復期も感染力はあります。特に潜伏期には感染力が高く、症状出現前に他者へ感染させる可能性があります。症状が治まってきて回復期に入ってからも数日は同様の可能性がありますので注意が必要です。
|おたふくかぜの症状
おたふくかぜの臨床経過は基本的には軽症と考えられています。2〜3週間の潜伏期(平均18 日前後)の後、典型的には片側あるいは両側の耳下腺を中心として、顎下腺・舌下腺の腫脹が起こります。これらの唾液腺の腫脹や圧痛・嚥下痛・発熱を主症状として発症し、通常1 〜2週間で軽快します。
唾液腺腫脹は両側もしくは片側の耳下腺に認められます。約25%(4人に一人)の症例は片側の腫脹のみで軽快します。また顎下腺(約50%の症例)・舌下腺にも起こることがあります。通常48時間以内にピークを認めます。 腫脹し始めてから3〜4日間は痛みが強く、特に唾液を分泌する時に増強します。通常7〜10日前後で腫れが引き長くても2週間で消失します。熱はでないケースがあります。
院長のひとりごと
特に顎下腺が腫れると、おたふくのような顔になりやすいです。
全体的には次のように症状が発現して行きます。
初期症状(カタル症状)
- 発 熱(38〜39℃の発熱が3〜5日間)
- 咳・鼻水・咽頭痛
- 筋肉痛・気分不快・頭痛・寒気
唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の炎症症状
- 耳下腺の炎症・腫脹・疼痛
- 顔面(こめかみ・あご)〜頚部の疼痛・腫脹
- 開口障害(口が開けずらくなる)
- 嚥下障害・嚥下痛(飲み込みずらい・飲み込む時痛い)
耳下腺の腫脹は発症から12 - 24時間以内に発生します(60〜70%で発生)。24時間以降(2日目)に最もひどく3 〜7日でゆっくり消失してゆきます。
おたふくかぜに感染した時に耳下腺の腫れは腫れは片方だけの場合と左右両方の場合があります。両側共に腫脹した場合、確定診断決め手になります。しかし <おたふく> のように両側同時に均等に耳下腺が腫脹する訳ではありません。最初片側が腫脹し、それがピークを越え縮小してきた時期に、対側が腫脹するパターンが一般的です。また感染しても症状が現れない場合(不顕性感染)が30〜35%あるといわれています。
おたふくかぜに感染した場合発熱しないケースもありますが、発熱した場合は38度を超える高熱になることがあります。子供のおたふく風邪の場合、高熱が続くことはあまりなく、熱は3〜4日、腫れは1週間〜10日程度で治まることがほとんどです。食べる際に唾液が出たりすると痛みが出ますので、食欲不振を伴うことがあります。小児の患者様では水分も取れない状態になることもあり、脱水症状も気をつけなければなりません。
|おたふく風邪の合併症
小児のおたふくかぜは症状も軽いため、深刻な病気ではないと思われています。しかしおたふくかぜには多くの合併症があり注意が必要な感染症です。合併症としては、おたふくかぜの症状が明らかであった患者さんの約10%がを併発します。代表的な合併症には
髄膜炎・脳炎/脊髄炎・難聴・膵炎・精巣(睾丸)炎・卵巣炎・心筋炎・糖尿病
などがあります。最も多い合併症は髄膜炎です。合併症は重症化することもありますので、必ず医師の診断を受けてください。
おたふくかぜはムンプスウイルスによって引き起こされますので、無菌性(細菌性ではない)髄膜炎となります。髄膜とは脳を包み込む膜で、そこにウイルスが感染し炎症が起こり症状が発現します。
1.無菌性髄膜炎の症状
他の無菌性髄膜炎と同じ症状で発熱・頭痛・嘔吐・けいれん・項部硬直(首が固くなり曲がらなくなる) などが主な症状です。発症時期は、耳下腺が腫れ出してから4日以内が50〜60%です。髄膜炎の症状のない場合でも、髄液の検査で、異常を示すケースもあります。
おたふくかぜ(ムンプス患者)の62%に髄液細胞数増多がみられ、その内28%に中枢神経症状を伴っていたという報告があります(Bang ら)
2.無菌性髄膜炎の特徴
- おたふくかぜの合併症で最多
- おたふくかぜ患者の約約10%に合併
- 耳下腺が腫脹する前に髄膜炎症状が出現(約20%)
- 耳下腺の腫脹なしで発症(約40%)
- 一般的に軽症・予後良好(通常14日以内に回復・後遺症なし)
耳下腺腫脹のなしで1日3回以上の嘔吐、頭が割れるような激しい頭痛などの症状があるときには髄膜炎を疑います。医療機関を受診してください。
おたふくかぜ患者の約0.2%(1,000〜5,000人に1人)に発症します。脳そのものに炎症が及び脳炎となります。2〜3日で急激に発症し、髄膜炎の症状の他に嗜眠傾向・昏睡・けいれん・麻痺・意識障害などの症状が発現します。通常は完全に回復しますが、神経性難聴や顔の筋肉の麻痺など、神経や脳に永久的な障害が残ることもあります。通常は体の片側だけに起こります。意識消失したり痙攣が起こった場合はすぐに医療機関を受診してください。てんかんや発達障害などの後遺症を残すことがあります。
おたふくかぜに合併する難聴をムンプス難聴とよびます。内耳をウイルスが障害する感音性難聴です。15,000〜20,000 例に1例程度に難聴を合併すると言われています。合併の頻度は低いですが、永続的な障害となるので重要な合併症のひとつです。
1.ムンプス難聴の症状
おたふくかぜ発症後3〜7日目頃に合併することが多く見られます。突然めまい・耳鳴り・嘔吐・ふらつきなどの症状と共に耳が聞こえにくくなります。多くの症例は片側の耳だけの難聴のため日常生活には差し支えないことが多いですが、発見が遅れる原因になります。
2.ムンプス難聴の特徴
- 発症頻度 1万5,000例に1例
- 片耳だけ聴こえずらくなる(発見が遅れる理由)
- 小児は自覚症状がないことが多い
- 重篤な難治性難聴が後遺症となる(難聴が回復しない)
ムンプス難聴の頻度は教科書的には希もしくは1万5000人に1人程度とされていることが多いが、近年はより高頻度に合併すると報告されています。具体的には、100〜2000人に1人となりますが、定説はありません。調査結果が統一しないようですが、一定のリスクはあるようです。国立感染症研究所は、2001年の1年間の全国のムンプス難聴受療患者数は 650人と推計しています。
ムンプス難聴は、一生治らない後遺症として永続的な難聴となる可能性があり注意を要します。おたふくかぜの小児の患者様を呼んでもいつものように振り向かない場合は、すぐに聴力検査を受けてください。
おたふくかぜを発症して7〜10日目頃に膵臓の炎症(膵炎)が起きることがあります。合併率はわずか数%といわれ、おたふくかぜに多くみられる合併症ではありませんが稀に発症することがあります。軽症から重症まで様々な程度の腹痛・吐き気・嘔吐がみられます。通常は1週間程度で治ります。以前は糖尿病との関連が言われていましたが最近ではあまり関係がないと言う意見が多いようです。
膵炎の症状
発熱・上腹部痛・悪心・嘔吐・下痢など
膵炎になると消化酵素(蛋白を溶かす物質)が血液中に流れ出ますので様々な臓器の機能の低下を起こします。放置すると命に関わるような腹膜炎を起こしたり、血液が止まりにくくなったり、重症になる危険があるので、早めに医療機関を受診しましょう。
精巣炎・精巣上体炎(睾丸炎) は、ほとんどが思春期以降の成人男性に合併します。小児期には稀です。おたふくかぜによる耳下腺腫脹後4〜10日くらいに合併することが多いとされます。歩行などの動作で睾丸の腫れが悪化するため、安静を要しますが、症状は3〜7日くらい持続します。ただし睾丸の圧痛は1ヶ月程度続くことがあります。
精巣炎の炎症は片側か両側で、非常に痛みます。感染した精巣が治った後で小さくなることがありますが、一般的に、テストステロンの産生や生殖能力は障害されません。
精巣炎・精巣上体炎(睾丸炎)の症状
- 睾丸が炎症を起こす
- 睾丸の痛み
- 睾丸・陰嚢の腫脹(腫れ)
- 睾丸・陰嚢の圧痛
- 陰嚢の発赤
- 発 熱
- 頭 痛
- 悪 心
- 嘔 吐
炎症を起こした睾丸はその後部分的に萎縮(小さくなる)ことがありますが、この場合でも精子は作られています。稀に左右両方の睾丸が大きなダメージを負うと <無精子症> といわれる不妊症の原因となることがありますが、両側の精巣が侵されることは少なく、多くは片側の精巣だけなので、おたふくかぜ自体が不妊の原因になる頻度は低いです。
おたふくかぜに感染した成人女性の約7%が卵巣炎を併発します。
卵巣炎の症状
- 下腹部痛
炎症が軽い場合は、その後も正常に排卵等が行われます。重症化しても、ほとんどは片方の卵巣のみに影響します。不妊になることは稀です。
主にに成人の合併症で、頻度としては稀です。
おたふくかぜに合併した心筋炎の症状
- 胸痛・頻脈・呼吸困難などの症状が、おたふくかぜ感染の1〜2週後から出現
おたふく風邪の感染者に心電図が心筋炎と同じ波形を示すことがありますが、心筋炎の症状が現れることはまれです。症状が現れが場合でもほとんどは完治します。稀に突然死することもあります。
糖尿病も合併症の一つとされていますが、おたふくかぜとの因果関係は明確ではありません。
関節炎・腎炎などの報告も少ないですがあります。ごく稀におたふくかぜによって死亡する例もあります。
|成人・妊婦のおたふく風邪・不妊との関係
おたふくかぜに感染すると15歳以上の男性患者の30%程度に精巣炎・睾丸炎を、成人女性患者の7%程度に卵巣炎が見られるとされています。特に中学生以上の男子は注意が必要とされています。
精巣も卵巣も2つずつあり、精巣炎・睾丸炎、あるいは卵巣炎を併発しても両側共に症状が出ることは極めて稀です。生殖機能に影響がないわけではありませんが、成人してからおたふくかぜになったことが不妊の直接的原因になるという可能性は低いです。
|妊娠中のおたふかぜ
妊娠中におたふくかぜにかかっても、胎児の奇形の原因にはならないと言われています。しかし妊娠初期におたふくかぜにかかると、流産の危険性が高まるので、注意することが大切です。
|おたふくかぜの予後(経過の見通し)
ムンプスにかかった小児のほぼ全員が問題なく完全に回復しますが、まれに、約2週間後に症状が再び悪化することがあります。
|鑑別を要する耳下腺炎
おたふくかぜの他に耳下腺の腫れる疾患があります。片方だけ腫れる場合はおたふくかぜではなく耳下腺炎の可能性もあります。代表的なものでは、異なるウイルスによる耳下腺炎・反復性耳下腺炎・化膿性耳下腺炎などがあります。
鑑別を要するものとして、他のウイルス、コクサッキーウイルス、パラインフルエンザウイルスなどによる耳下腺炎、(特発性)反復性耳下腺炎などがあります。おたふくかぜとの鑑別点は片側のみの耳下腺が腫脹することです。
耳下腺が腫脹し疼痛を伴います。通常片方の耳下腺のみが腫れ、他の唾液腺は腫脹しません。数週間から数年おきに繰り返し腫れ、回数は一定してません。耳下腺腫脹を何度も繰り返すもので、軽度の自発痛がありますが、発熱を伴わず耳下腺腫脹は2〜3日で軽快します。耳下腺が腫れる病気としてはおたふくかぜに次いで2番目に多い病気です。初期に片方のみの耳下腺がはれた場合にはおたふくかぜと区別ができないことが往々にしてあります。流行性耳下腺炎に何度も罹患するという訴えがある際には、この可能性も考えるべきです。
反復性耳下腺炎の原因
種々の原因で唾液管が拡張したり、アレルギー・感染症が関与していると推定されています。 稀に膠原病であるシェーグレン症候群(自己免疫疾患)などと関係していることもあります。
反復性耳下腺炎の治療
特別な治療はなく対症療法を行います。発熱・腫脹・熱感がある場合には、鎮痛剤痛を使用したり、細菌感染合併を考えて抗生剤を投与することがあります。数年間にわたり何回もくり返しますが、ほとんどが 学童期で自然に治癒します。
反復性耳下腺炎の家庭での注意点
食品は酸っぱいものや、固いもの、塩辛いものは避けます。 入浴は問題ありません。
おたふくかぜはムンプスウイルスの感染により起こりますが、化膿性耳下腺炎は細菌感染により発症します。
化膿性耳下腺炎の原因
口腔内の細菌が唾液腺導管(唾液が出るところ)から耳下腺に入り込んでおこる急性化膿性疾患です。黄色ブドウ球菌・溶連菌・肺炎球菌が起炎菌になります。発症当初はおたふくかぜと 区別がつかないことがあります。
化膿性耳下腺炎の症状
通常は片方の耳下腺が腫れます。痛み・圧痛・発熱・頭痛などの症状がでます。耳下腺部の皮膚は発赤し、熱感があり、圧痛があります。腫れた耳下腺部を押さえると、口腔内の唾液間の開口部から膿が出てくることがあります。 腫れが重症化すると耳下腺部に波動感が出現してきて膿が耳下腺全体に貯留してきたことが解かります。
化膿性耳下腺炎の治療
抗生物質の投与が必要です。軽い場合は抗生物質の内服・鎮痛剤・湿布貼付などの治療を行います。自然に軽快することもありますが重症の場合は入院治療が必要なこともあります。膿が貯留し波動感が出てくれば切開排膿を行います。
大人への感染
おたふく風邪の発症は子どもに多くみられますが、ムンプスウイルスに免疫を持っていない場合は、大人でも感染します。大人が感染すると症状が重くなることがあり、40度を超える発熱を伴うこともあります。
大人が感染した場合は、合併症も気になるところです。前述のとおり特に成人男性は、合併症として睾丸炎が発症することがあります。また、成人女性が感染した場合は、卵巣炎を合併することがあります。
いずれにしても、いつもの風邪と違うと感じたら、早めに医師の診察を受けた方がいいでしょう。また、おたふく風邪に感染したことがない人は、予防接種を受けるのも一つの選択だと思います。医師と相談してみるのもいいでしょう。
妊婦への影響
風疹などのように、妊娠の初期に感染しても赤ちゃんに先天奇形が生じることはないようです。ただし、妊娠の初期の感染では、流産の危険性が高まるようです。妊娠初期を過ぎてから、おたふく風邪に感染してしまった場合は、赤ちゃんに影響を与える可能性はほとんどないようです。
予後
予後は一般的によい。耳下腺の腫脹がなくなれば感染力はなくなる。高度感音性難聴になることがあるが、頻度は1万分の1から数百分の1と、文献により異なる。男性が不妊症になることもある。
反復性耳下腺炎は耳下腺腫脹を何度も繰り返すもので、軽度の自発痛があるが発熱を伴わないことがほとんどで、1〜2 週間で自然に軽快する。流行性耳下腺炎に何度も罹患するという訴えがある際には、この可能性も考えるべきである。
髄膜炎を疑う症状(高熱、頭痛、嘔吐など)が出現すれば必要により髄液液査が行われます。輸液療法で数日間の入院を要することがあります。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の検査と診断
おたふくかぜの診断は、おたふくかぜに特徴的な臨床症状・周囲の流行状況などで判断されることが通常です。しかし他のウイルスによる耳下腺炎との鑑別を要するとき、おたふくかぜの確定診断が必要な時には検査を行う必要があります。
|おたふくかぜの診断
両方の唾液腺(耳下腺・顎下腺)が腫脹した場合、ほぼ間違いなくおたふくかぜと診断されます。耳下腺の腫脹が軽症でも、圧痛も特徴の一つなので、これも診断の目安にします。片方の耳下腺しか腫れず、熱もなく軽症で、おたふくかぜという診断が難しくても、その後同居する兄弟姉妹に耳下腺・顎下腺の腫れが出た場合は、さかのぼっておたふくかぜだったと診断されることもあります。
豆ちしき
おたふくかぜ(ムンプスウイルス感染)は、耳の前下にある耳下腺、下あごの下にある顎下腺に感染するのが特徴です。
|おたふくかぜの検査
一般的におたふくかぜには次のような検査があります。
ウイルス分離・血清学的検査(ウイルス抗体測定)・遺伝子検査
ムンプスウイルスを分離することがおたふくかぜの最も直接的な診断方法です。唾液・尿・髄液からムンプスウイルスを分離することが最も直接的です。症状が出現してから極力早い時期に検体を採取することが必要です。
少なくとも第5病日までに検体を採取することが望ましいとされています。
検体採取の方法(ウイルス分離可能期間)
唾 液 症状出現の7日前から出現後9日頃まで
髄 液 症状出現後5〜7日くらいまで
ウイルス分離検査のディメリット
- 検体を採取可能な期間が短い
- 結果が出るまでに時間を要する
- 健康保険の適用ではない
耳下腺炎を起こすのはムンプスウイルスだけではないため、流行性耳下腺炎(ムンプスウイルス感染症)であることを証明するにはウイルス学的な診断が必要です。ウイルス分離には時間を要するため、一般的には血清学的診断が行われます。一般的にはEIA 法にて急性期にIgM 抗体を検出するか、ペア血清でIgG 抗体価の有意な上昇にて診断されます。
同一患者から採取された1組の急性期血清および回復期血清のことです。感染初期の血清を急性期血清とし、病気が回復した後の血清を回復期血清とし、その抗体価の上昇を指標として血清学的診断を行います。感染症の診断、ワクチンの効果の判定に使用されます。
再感染時にもIgM 抗体が検出されることがあり、初感染と再感染の鑑別にはIgG 抗体のavidity の測定が有用とされています。
最近では、RT‐PCR法でウイルス遺伝子(RNA)を検出することが可能になっています。RT‐PCR 法でウイルス遺伝子を検出すれば、ワクチン株と野生株の鑑別が可能です。
ウイルスの遺伝子(RNA)を検出し、それを逆転写酵素(Reverse Transcriptase)によりc-DNAを作製します。c-DNA を Polymerase Chain Reactionにより大量に増幅し、それを検出することにより確定診断します。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の治療
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)に対しての特異的治療法はなく、現在のところ特効薬(抗ウイルス薬)はありません。基本的に各々の症状に対しての対症療法であり、合併症を併発した場合は入院して治療することが多くなります。
|おたふくかぜの症状に合わせた治療
非ステロイド系解熱鎮痛剤剤(NSIDs)などを使用します。ライ症候群発症の可能性のため、アスピリンをウイルス性疾患の小児には原則として投与しません。
アセトアミノフェンやイブプロフェンを鎮痛のために経口投与します。非ステロイド系解熱鎮痛剤剤(NSIDs)などを使用します。ライ症候群発症の可能性のため、アスピリンをウイルス性疾患の小児には原則として投与しません。耳下腺の痛みは冷やすと軽減するので、顔面・頚部・他の腫脹箇所を氷嚢や冷却シートなどで冷やしてあげましょう。冷やしたり暖めたりすることで症状が軽減される場合もあります。
発熱による脱水症状を軽減するたに定期的な水分の摂取を行いましょう。重症化した場合点滴治療の対象になることもあります。
|おたふくかぜの合併症の治療
膵炎により強い吐き気や嘔吐が生じた場合は飲食を数日控え、輸液治療およびその症状に対しての内服治療を行います。
精巣に炎症を起こした男児や成人男性は安静にする必要があり、スポーツ用のサポーターや両足の太腿の間に張った粘着テープで陰嚢を支えるケースもあります。睾丸炎を併発した場合も、アイスパック(氷のう)で睾丸を冷却します。
髄膜炎や脳炎を起こした小児にも静脈内輸液を行い、発熱や頭痛を鎮めるために非ステロイド系解熱鎮痛剤剤(NSIDs)(アセトアミノフェン・イブプロフェンなど)を投与するケースもあります。けいれんが起きた場合は抗けいれん薬を投与する場合があります。
耳下腺への細菌の二次感染のリスクがある場合は、抗生物質を処方します。細菌の二次感染の予防であり、おたふくかぜ自体を改善するものではありません。
|おたふくかぜ感染時の家庭での注意点
おたふくかぜの症状が出ている間は、食事をすると唾液分泌が促されるため耳下腺の腫脹によって痛みを伴います。そのため食事が摂りにくいケースがあります。従って消化の悪いものや硬いものは食べさせないようにします。酸味のあるオレンジジュースなどは飲む際に唾液が多く出てきて、痛みを伴うので避けた方がいいでしょう。また、水分補給も大切になります。具体的には次のようなものを食べさせるといいようです。
- 痛みがひどいときは、軽く温めた牛乳やスープなどの液体で栄養補給する。
- 味が薄いもの、酸味が少ないものを取る。(オレンジジュース、みそ汁などは避けた方がいい)
- 噛まずに栄養補給できるもの(スープ・ゼリー・ヨーグルト・プリン・アイスクリームなど)をメインに
- 症状が改善してきたら、おかゆなどを食べさせる
- 暖かい塩水のうがい薬・柔らかい食物・特別な流動食
食事がうまく取れない場合は、医師と相談してください。病院で点滴など使用して栄養補給する方法もあります。
解熱して体調が良ければお風呂は問題ありません。しかし長風呂は体力を消耗してしまうので、早めに上がりましょう。熱がある場合にはシャワーで軽く済ませ、湯冷めしないように気を付けましょう。高熱で倦怠感がある時で小児の患者様がお風呂を嫌がる、機嫌が悪いという場合には無理に入浴する必要はありません。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の予防
おたふくかぜはムンプスウイルスによる感染によって起こりますので、予防のためには、うがい・手洗い・マスク着用などを徹底することや、家族内に感染者がいる場合は、同じタオルを使用しないようにするなどの配慮が必要です。他のウイルスや細菌などの感染予防と同様の予防策が必要ということになります。現在おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)はいろいろな方法で予防されています。代表的な予防方法は予防接種(ムンプスワクチン)の接種です。
|おたふくかぜの予防接種(ムンプスワクチン)
小学校入学までおたふくかぜに感染しなかった場合は、予防接種(ワクチン)でしっかり予防するのが効果的です。おたふくかぜの予防接種では、1回の接種で90%以上の確率で予防できるとされていますが、子供の場合は免疫機構が未熟で、1回では抗体が定着しない可能性があるため2回接種が推奨されています。一方大人になってからおたふくかぜにかかると重症化することも多いので、小児期に予防接種を受けておいた方が安心です。1歳過ぎたら接種可能です。日本では1回接種になっているので、1歳過ぎで集団生活をする前に接種が望ましいとされています。日本においては任意接種となります。接種時期については、おたふくかぜに感染するピークとなる年齢(4〜5歳くらい)よりも前の方がいいようです。
おたふく風邪の予防接種は1歳から受けることができますが、任意の予防接種となりますので、自費です。また、生ワクチンのため1歳未満の乳児は予防接種ができません
おたふく風邪の罹った報告が多い年齢
1. 4〜5歳
2. 2〜3歳
3. 6〜7歳
4歳が最多 3〜6歳で感染者の約60%
1. MMRワクチン
現在日本では接種が中止となったワクチンです。
過去には麻疹(Measles)・おたふくかぜ(Mumps)・風疹(Rubella)の混合ワクチンが存在し、麻疹の予防接種の際に希望に応じて混合ワクチンを接種するというスタイルをとっていました。
ワクチンによる無菌性髄膜炎が発生する(1,000人?2,000人に一人程度)ことが明らかになり、現在ではMMRワクチンの使用は中止となりました。しかし全世界105カ国(2004年時点)ではMMRワクチンとして定期接種を行っています。世界的にはMMRワクチンは使用されているようです。
2. おたふくかぜワクチン
MMRワクチンの使用は中止となりましたが、おたふくかぜ(ムンプスウイルス)用の単独のワクチンはあります。ムンプスウイルスの毒性を弱めた生きた病原体を注射して抗体をつくる <生ワクチン」> で、1回の接種で9割の人に効果があります。1歳以上で受けられ、自己負担で3000円から7000円程度の値段になります。日本ではMMR接種の行われた1988年から1993年迄の期間を除き、任意接種としておたふくかぜワクチンの単独接種が行われており、一部の自治体では公費助成が行われています。
おたふくかぜワクチン(第一三共株式会社提供)
ウイルスの毒性を弱めた生ワクチン(おたふくかぜ弱毒生ワクチン)で、ニワトリの細胞を使って作られています。接種量は0.5mlを1回、皮下に注射します。
3. おたふくかぜワクチンの予防効果(2回接種の必要性)
おたふくかぜワクチンの1回目の接種により約90%前後が有効なレベルの抗体を獲得するとされています。しかしワクチンを接種しても免疫(抗体)がつかない場合があります。抗体陽性率は80〜100%ですが、徐々に抗体価は低下する傾向にあるので、実際に免疫機能として世界的に言われている効果は75〜91%です。基本的には2回接種が勧められています。
1回目の接種で産生された抗体価は不変ではなく、経時的に減少致します。このためおたふくかぜワクチンを接種したのに感染してしまうケースが見られます。2回目の追加接種により、現象してきたムンプスウイルスへの抗体価に、更なる抗体を上乗せしてトータル的な抗体量を上昇させることができます。これをブースター効果(booster effect)を呼びます。接種間隔はMRワクチンと同様、5年程度空けて接種した方が望ましいでしょう。
おたふくかぜワクチンの抗体陽転率は90 - 98%と他のワクチンと比べて低いレベルです。しかしおたふくかぜ流行時の有効率は星野株で約90%とされています。ワクチン接種後のおたふくかぜ罹患の多くは二次性ワクチン不全(1回目の接種で抗体が不十分であること)と考えられています。MMRを接種する世界の多くの国では2回接種により二次性ワクチン不全を防止しています。
おたふくかぜワクチンを単独で接種する方が抗体陽性率は上昇します。現在中止になっているMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ)でも抗体陽性率は73%、2回接種で86%になると言われています。
4. アメリカでのおたふくかぜの予防(MMRワクチンの2回接種)
2015年現在アメリカでのMMRワクチンの2回接種後でのおたふく風邪の発症が、年間300人以下です。一方、日本では6万〜25万人が毎年発症しています。その理由は日本では2回接種システムになっていないからです。
アメリカを初め世界各国では、おたふくかぜワクチンを接種している117国の中で110国で2回接種するシステムになってします。
アメリカでのおたふくかぜの大流行(2006年)
アメリカではムンプスに対する定期予防接種が生後12〜15カ月に行われるため年間発症数は300例以下です。しかし2006年に中西部でおたふくかぜが20年ぶりに大流行しました。2006年1月から年末までに、18 - 24歳の大学生を中心に計6,584人が発症、85人が入院、死亡0人という結果になりました。わずか4カ月間で2,500人以上が発症しました。18 - 24歳で1,020人中858人(84%)が2回接種を受けていたが発症しているため、ワクチン2回接種でも予防効果は不十分である事が示唆されました。ワクチン接種を今後も続けていく必要性が証明されたケースでもあります。
|おたふくかぜの予防接種の副作用(ムンプスワクチン)
おたふくかぜワクチンは、ウイルスを弱毒にしたものですが、毒性を全くゼロにはできていません。おたふくかぜワクチン接種後に耳下腺が腫れるなど、おたふくかぜの様な症状が副反応として出現することがありますが、重篤な副反応は稀とされています。一般的には次のような副反応が出現する可能性があります。
おたふくかぜワクチンの主な副反応
- 耳下腺の軽度腫脹(ワクチン接種後2週間前後)
- 微 熱
- 無菌性髄膜炎(約1,000人〜2,000人に1人程度の頻度・MMRワクチンと同様)
- 難 聴(非常に稀 ・ 数十万人に1人程度)
- アレルギー反応によるアナフィラキシー
おたふくかぜワクチンとゼラチンアレルギー
過去にゼラチンアレルギーのある小児にはおたふくかぜワクチンの接種に注意が必要でした。しかし各ワクチンメーカーの努力により、 ムンプスワクチンからゼラチンは除かれるか、あるいは低アレルゲン性ゼラチンが用いられるようになり、ゼラチンアレルギー児に対しても安全に接種が行われるようになってきました。
患者と接触した場合の予防策として緊急にワクチン接種を行うのは、あまり有効ではありません。患者との接触当日に緊急ワクチン接種を行っても、症状の軽快は認められても発症を予防することは困難であると言われています。 有効な抗ウイルス剤が開発されていない現状では、集団生活に入る前にワクチンで予防して おくことが、現在取り得る最も有効な感染予防法です。
|おたふくかぜの感染症法における取り扱い(2012年7月施行の感染症法)
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は5類感染症定点把握疾患に定められており、指定届出機関(全国約3,000カ所の小児科定点医療機関)は週毎に保健所に届け出る義務があり、毎週報告されています。報告のための診断基準は次の通りです。
おたふくかぜの感染症法における取り扱い(2012年7月施行の感染症法)
診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2つの基準を満たすもの
1. 片側ないし両側の耳下腺の突然の腫脹と、2日以上の持続
2. 他に耳下腺腫脹の原因がないこと
3..上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの
|おたふくかぜの学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)
おたふくかぜの原因となる<ムンプスウイルス>は、感染力が非常に強く、唾液や飛沫などによって感染します。潜伏期間が2〜3週間と非常に長いため、感染時期や感染源を特定するのは困難ですが、多くの場合は幼稚園や保育園、学校などの集団生活で感染します。そのため、幼稚園・保育園、学校等では出席停止の措置が取られています。ただし、幼稚園や保育園の場合は病状が治癒し、感染の危険がないことを医師が証明する「出席許可証」等が必要となることがありますので確認が必要です。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は第2種の感染症に定められており、耳下腺・顎下腺・舌下線の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ耳下腺の腫脹や熱・鼻水などの症状が軽快し全身状態が良好になるまで出席停止とされています。
学校保健安全法における取り扱い(2012年3月30日現在)
耳下腺の腫脹がある間はウイルスの排泄が多いので、腫脹が消失するまで出席停止とする。
ただし、病状により学校医その他の医師において感染の恐れがないと認めたときは、この限りではありません。
また、以下の場合も出席停止期間となります。
- 患者のある家に居住する者又はかかっている疑いがある者については、予防処置の施行その他の事情により学校医その他の医師において感染のおそれがないと認めるまで
- 発生した地域から通学する者については、その発生状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
- 流行地を旅行した者については、その状況により必要と認めたとき、学校医の意見を聞いて適当と認める期間
|おたふくかぜの免疫・再感染について
一般に、おたふくかぜワクチン接種や一度野生株に自然感染すると、おたふくかぜに対して一生有効な免疫(抗体)を獲得するとされています。つまりおたふくかぜは一生に一度といわれています。ムンプスウイルスによる感染症ですので、一度ウイルス感染すればそれに対しての免疫(抗体)ができますので、再度感染することはありません。また感染しても症状が出現しない場合(不顕性感染)もあります。その場合でも感染した場合は免疫がつきます。
しかし一度おたふくかぜになったのに、また感染したという人がいます
おたふくかぜワクチンを接種したり、おたふくかぜに一度感染してもおたふくかぜの様な症状が出現する場合は、次の2つの可能性が考えられます。
ムンプスウイルスに対しての抗体価の減少
(1)おたふくかぜの流行が抑制されたため抗体ができずらい
過去にはおたふくかぜは周期的に小さな流行を繰り返してきました。その感染に伴う刺激により人々の抗体価が維持されて来ました。しかしワクチンの発達やワクチン制度の充実により、おたふくかぜの流行による刺激が少なくなり、徐々に抗体価が減少
(2)おたふくかぜワクチンを接種しても免疫(抗体)がつきずらい体質
おたふくかぜワクチンの抗体陽性率は約90%といわれています。つまり残り10%の方は不十分な抗体しか作られません。このためワクチンを接種してもおたふくかぜに感染してしまうケースがあります。
おたふくかぜの症状に似た他の疾患である
おたふくかぜに複数回感染したと言っている人は、ムンプスウイルスに複数回感染したのではなく、ムンプスウイルス以外のウイルスや細菌によって耳下腺が炎症を起こしているということだと考えられます。この場合は、異なるウイルスですので、ムンプスウイルスの免疫があっても感染してしまいます。またおたふくかぜに似た病気で反復性耳下腺炎という病気があり、中学生くらいの年代に繰り返して耳下腺炎を発症します。これもおたふくかぜと間違えやすい病気です。診察だけではおたふくかぜと鑑別診断することが難しいですが血液検査などにより抗体価を測定することにより原因ウイルスが判別できます。
おたふく風邪に似た症状が出た場合はきちんと診断し、抗体ができたことを確認しましょう
また、母親からの抗体(胎盤を通過する移行抗体)は、生後10ヶ月ごろまで有効といわれています。
成人してからおたふく風邪にかかると重い合併症を伴うリスクが高くなるため、小児のうちに抗体ができなかった場合は予防接種などで対策することをお薦めします。おたふく風邪の予防にはワクチンが有効。小児のうちに抗体を作れなかった場合は、早めに接種しておきましょう
予防接種:おたふくかぜ弱毒生ワクチン(任意接種のため有料)が有効です。ワクチン接種2〜3週後、まれに耳下腺が腫れたり、発熱することがあります。また、ごくまれに無菌性髄膜炎を合併したという報告があります。
日本では、ワクチン接種が任意となり接種率は約20%から30%とされている。このため初感染が高年齢となり、合併症を伴う成人ムンプスの増加が懸念されている。また、突発性難聴を示した患者の中には、抗ムンプスIgM抗体陽性者があり不顕感染でありながら突発性難聴を生じた可能性が示されている。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)の疫学
おたふくかぜ(ムンプスウイルス感染症)は通常は1週間〜10日で回復する予後良好な病気ですが、日本では200万人以上の患者さんが毎年発生しています。疫学的には次のような特徴があります。
一般的に発生に季節性はなく、おたふくかぜは年間を通じて発生します。一番多いのは冬の終わりから春先にかけてです。
人口が非常に密集した地域では年間を通じて発生しますが。免疫を持っていない人たちが密集していると流行することがあります。
どんな年齢の人にも発症します。報告患者の年齢は に多く感染しています。大概3〜10歳の小児です。更なる年令の詳細は次の通りです。感染しても症状が出ない不顕感染の場合もあります。
- 3〜6歳が約60%
- 4歳以下が45 〜47%
- 2歳未満は稀
- 4歳(最多) > 5歳 >3歳 の順
- 成人が感染すると重症化する場合が多い
|おたふくかぜの最近の流行状況
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は日本でも毎年地域的な流行がみられています。
- 1989年の流行までは3〜4年周期で感染者の増減あり
- 1989年のMMR ワクチンの導入により、1991年には調査開始以来の最低の流行状況
- 1989〜1993年 おたふくかぜ患者数 緩徐に増加
- 1993年 MMRワク チン中止
- 1994年以降再び3〜4 年周期で患者数が増加
|感染症発生動向調査(全国約3,000 の定点医療機関からの報告)
- 感染症法施行以降の1999年4月〜2000年12月 毎週約1,100〜4,800人
- 2000年末より過去10年間の当該週に比べて定点当たり報告数がかなり増加
- 2001年の患者報告総数は254,711人となり、過去10年間で最多
- 2002 年には減少し182,635人(暫定データ)
|おたふくかぜの歴史
5世紀 ヒポクラテスがThasus島で、耳の近くが両側あるいは片側のみ腫脹する病気が流行し
たのを記載(耳周辺の痛みを伴うこと、睾丸が腫脹することも記載されている)
1886年 Hirsh がこの病気は世界中に広く存在することを報告
1934年 JohnsonとGoodpasture が、この疾患の原因微生物はフィルターを通過するウイルス
であると報告
豆ちしき
ムンプスという名前の由来は不明であるが、ひどい耳下腺炎を起こした患者がぼそぼそ話す(mumbling speech)ことによるのではないか、と報告されています
病気に気づいたらどうする
流行性耳下腺炎は、学校保健安全法では第二種の感染症に属しており、耳下腺のはれが消えるまで登校・登園停止となります。発症が疑われた場合は、かかりつけの小児科(成人の場合は内科)を受診してください。
日本で開発された水疱瘡のワクチンを混合し、MMRVワクチンの2回接種を定期接種として採用しています。
田島クリニック
TEL 045(264)8332
www.tajimaclinic.yokohama
1F Etoile Yamashita, 118-1 Yamashita -Cho, Naka-ku, Yokohama, 231-0023
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