痒疹 Prurigo
痒疹とは、強いかゆみを伴う皮膚の炎症反応により結節・丘疹を主体とする湿疹の一つです。非常に痒いポツポツとした赤い皮膚のもりあがり(丘疹)がパラパラとちらばってできます。すねのあたりやお腹まわりに限られるタイプから体中にできるタイプまで様々です。またおのおのの丘疹が1週間程度で治ってしまう急性のものから、何か月も治強いかゆみを伴う皮膚の炎症反応形式のひとつです。大豆くらいまでの大きさの塊が皮膚に多数でき、長い場合は数年にわたり続きます。
病態の推移により急性・慢性に分けられ、それぞれ急性痒疹・慢性痒疹と呼びます
痒疹の原因
原因はいまだに明確化されていませんが、アレルギー反応の一種と考えられます。
痒疹の原因(疑いも含む)
- アレルギー反応(アトピー性皮膚炎など)
- 虫刺症(小児ストロフルス)
- 薬剤性
- 長期の掻把(掻きむしること)
- 内臓疾患(腎臓・肝臓・胆道)
- がん(内臓・血液)
- ホルモン異常
痒疹の分類
1カ月以内に治るものを急性痒疹、数カ月以上にわたって続く場合を慢性痒疹と分類します。またその他の痒疹を特殊型と分類します。
主として5歳以下の幼少児に起こり、ストロフルス(Strophlus・丘疹性じんましん)とも呼ばれます。小児の患者様が虫刺症の痒みで掻くことが刺激となり出現するというパターンが多いです。
主にアトピー性皮膚炎や高齢者の慢性湿疹に続発することがあります。固定じんま疹(結節性痒疹)や 多形慢性痒疹など。
ヘブラ痒疹・妊娠性痒疹・色素性痒疹、・尿毒症性痒疹・夏季痒疹(季節的に発症)があります。
妊娠性痒疹
妊娠3〜4ヶ月以降(妊娠中期)に主として四肢伸側に激しい発作性の掻痒が生じ、掻痒を伴う丘疹が四肢・腹部・背部に多発する病態です。初回妊娠でも発症することがあるが、ほとんど2回目以降の妊娠で発症するのが特徴です。一般に出産の度に再発を繰り返すのが多く出産後は軽快するのが特徴です。アトピー性皮膚炎の患者様に多いとの報告があり関連性については現在研究中です。
痒疹の症状
一般的にかゆみは非常に強く、散在した結節・丘疹が特徴的です。初期には虫刺されのような赤く少し盛り上がった発疹(丘疹)が出現します。中心部に小さな水疱が形成されることもあります。かゆみのために引っかいていると傷になり、じゅくじゅくします。掻把を繰り返すと、徐々に隆起し硬化します。
通常個々の発疹は離れて存在(散在性)しますが、多形慢性痒疹では発疹が集まって(集簇)現れます。いずれも治癒後に茶色い痕あとが残り時々再発します
痒疹の検査と診断
痒疹の診断には次の様は方法があります。
問診・視診・病理検査・血液検査
現病歴(発症から受診までの経過)
既往歴(いままでのアレルギー歴やその他の病気)
特徴的な発疹とその分布状態
発疹の一部を切って顕微鏡で調べる組織検査で診断は確定
アレルギーや全身疾患(糖尿病・胃腸障害・肝臓病・血液疾患)に伴って現れることもあるため、血液検査を行うこともあります
痒疹では一般的な血液検査をしても異常のないことが多くあります。しかし中高年以上で重症例症状の場合には何らかの内臓の病気と関連していることがあります
痒疹が出やすい病態
- 糖尿病
- 慢性腎不全(透析患者)
- ホルモン異常
- 内臓疾患(肝臓・胆道系の異常)
- 悪性腫瘍(内臓・血液のがんなど)
- 金属アレルギー(歯科金属や食べ物に含まれる金属)
- 慢性の細菌感染(鼻・のど・歯に慢性細菌感染)
痒疹の治療
痒疹の治療には次の様なものがあります。
内服治療・外用薬治療・紫外線療法・冷凍療法・原因疾患の治療
アトピー性皮膚炎やじんましんと同様痒みが強い場合は抗アレルギー薬・抗ヒスタミン薬の内服を行いかゆみを軽減します。妊娠性の場合は胎児への影響も考え、内服は控えた方がよいでしょう。重症例には免疫抑制剤シクロスポリンの内服が効果的な場合もあります。また漢方薬がかゆみに奏功するケースもあります。
発疹に対し外用剤としては一般的にステロイド外用薬が使用されます。重症度に応じてステロイド剤の強さを調節します。乾燥が強い場合保湿剤を併用します。難治性の場合は発疹部にステロイド含有テープを貼ったり、ステロイド注射液を直接注射することもあります。
痒疹が体中にある場合には紫外線療法を行うことがあり、かゆみにもよく効きます。
痒いイボのようなかたまりがなかなか消えないときには液体窒素による冷凍凝固療法も行われます。その他にビタミンD3軟膏が有効なこともあります。
糖尿病・胃腸障害・肝臓病・腎臓病・血液疾患などに伴ってみられる場合は原因疾患の治療が必要です。
慢性腎不全による血液透析の患者様の痒みには新しい作用の薬(レミッチ)も発売されています
ステロイド外用薬と抗ヒスタミン薬以外は保険適用外の治療です。症状の非常にひどいときにステロイド薬や免疫抑制薬の内服が行われますが、この病気で長く飲み続けることは望ましいことではありません。
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